手付金はいつ払う?相場は?不動産売買における手付金の意味を徹底解説!

そもそも手付金って何?いつ払う?

手付金とは、売買契約の際に買主から売主に支払われるお金のことです。金額が低い物件の場合等、手付金なしの取引もあるのですが、一般的な不動産売買の場合は、手付金が設定されるケースがほとんどです。手付金は、残代金支払い時に売買代金に充当されます。

ちょっとここから一歩踏み込んだお話をすると、手付金は、売買契約時に払った時点では、まだ売買代金の一部ではありません。この点は、「手付金」が法律上の性格として、「中間金」とは異なる点です。手付金には種類があり、それぞれの種類によってその性格が変わります。難しい!と思われた方は、とりあえず「手付金は、売買契約の際に買主から売主に支払われるお金」と思っていただいてOKです。

(手付)
第3条 買主は、売主に手付として、この契約締結と同時に標記の金額(B2)を支払う。
2 手付金は、残代金支払いのときに、売買代金の一部に無利息で充当する。

手付金の種類について

手付金の種類は3種類について簡単にご紹介します。

解約手付

理由の如何を問わず、期限内であれば、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額(受領済みの手付金+ペナルティのイメージ)を買主に支払って、契約を解除することができます。

証約手付

買主が必ずこの物件を購入しますという買主の意思を明示するために売主支払うものです。もし、買主が契約を解除した場合は、手付金は売主が受領します。

違約手付

買主が契約違反をした場合は、手付金を全額放棄し、売主が契約違反をした場合は、手付金の倍額を返還します。

一般的な不動産売買の取引では、手付金は「解約手付」の性格を持っています。一歩ふみこんだお話をすると、民法上手付金は、特段の意思表示がなければ解約手付とみなされます。また、宅建業法上(第39条第2項)では、売主が宅建業者の場合は、必ず解約手付となります。難しいですね。「不動産売買における手付金は解約手付」でOKです。

(手付解除)
第15条 売主は、買主に受領済の手付金の倍額を現実に提供して、又買主は、売主に支払済の手付
金を放棄して、それぞれこの契約を解除することができる。
2 前項による解除は、下記の事項のいずれかが早く到来したとき以降はできないものとする。
① 相手方がこの契約の履行に着手したとき
② 標記の期限(E)を経過したとき

手付金の相場は?

ここから、いったんみなさんが気になる相場のお話しをします。手付金の額は、売主買主の合意によって決定しますので、いくらでも構いません。一般的な相場は、売買代金の5%~20%程度の範囲で決められます。なお、宅建業者が売主の場合、受領できる手付金の額は20%以内とされています。(宅建業法第39条1項)

例えば、1,500万円の土地を購入する場合、75万円~300万円の手付金が、3,000万円の戸建を購入する場合、150万円~600万円の手付金が相場ということになります。

この金額を見て、無理だ!となった方、ご安心ください。私がお取引させていただいている、一般の方の住宅用地や住宅購入の際の手付金は売買価格の何%というよりも、50万円~100万円が多いです。手付金が「解約手付」の意味を持つ以上、あまりに低い金額では簡単に契約を解除できてしまい取引が不安定なものになってしまいますし、あまりに高額な金額でも事実上手付解除ができなくなりますので手付金の意味をなさなくなってしまいます。購入される方の資産状況によりますが、私がお取引をさせていただいているエリアにおいては、一般家庭における手付金50万円~100万円は、ちょうどよい設定額ということで売主買主双方の合意が得られやすい金額ということでしょう。手付金の額は、ケーズバイケース。状況によって不動産屋さんに相談して、設定金額の調整を行ってもらいましょう。

手付解除

「不動産売買契約における手付金は解約手付」というお話しをしましたが、この手付による解除を「手付解除」といいます。

売買契約時に買主から売主に支払う手付金に解除権留保の手段としての意味を持たせることによって、理由の如何を問わず、定められた期限内であれば「手付解除」を行使することができます。

手付解除ができる時期

手付解除ができる時期は、民法では「当事者の一方が契約の履行に着手するまでの間」とされています。契約の履行とは、簡単に言うと買主においては、売買代金の支払い、売主においては物件を引き渡すことですね。例えば、解体更地渡しの土地契約において、売主が解体作業に着手することは契約の履行に着手しているといえますし、買主が中間金を支払った場合も契約の履行に着手しているといえます。ただし、判断が難しい面もありますので、不動産屋さんにしっかり確認してください。

また、手付解除の期限については、売主買主の合意があればその期限を短くすることもできます。ほとんどの売買契約においては、手付解除の期限が設定されていますので売買契約書意を確認してみましょう。「契約の日から1週間後」や「契約の日から1ヶ月後」、具体的な日付等が記載されています。実務上は、この期日で契約解除の可否を線引きしていることが多いのではないかと思います。なお、宅建業者が売主の場合、この期限を設定すること(民法の規定より短くすること)はできません。

まとめ

  • 手付金は、売買契約の際に買主から売主に支払われるお金
  • 手付金は、残代金支払い時に売買代金に充当される
  • 手付金の相場は、売買代金の5%~20%だが、売主買主の合意によって設定される
  • 売買契約における手付金は「解約手付」であるため、低すぎる設定額も高すぎる設定額もNG
  • 手付解除できる期限は、決まっている
  • 手付解除は、期限内であれば、理由の如何を問わず、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額(受領済みの手付金+ペナルティのイメージ)を買主に支払って、契約を解除することができる

今回は、手付金について解説しました。今後、手付解除の方法や実務的な面もニーズがあれば解説したいと思います。

宅地建物取引士・行政書士・賃貸不動産経営管理士・FP2級など不動産に関する資格を複数保有。
不動産売買の女性営業として、チェーン店全国1位の契約件数をおさめるなど実績と経験を積む。
 よりお客さまに寄り添った、質の高い不動産サービスを提供するため、不動産売買専門の不動産会社(株式会社 SMILE HOME)と不動産に関する諸手続きや相続を専門に取り扱う行政書士事務所( 行政書士事務所SMILE OFFICE)を設立。不動産に関する情報をわかりやすく発信する活動にも力を入れている。

関連記事

PAGE TOP